お城用語をわかりやすく解説

お城用語をわかりやすく解説 山城・平山城・平城編

お城用語をわかりやすく解説 山城・平山城・平城 編

今回は「山城・平山城・平城」について解説していきます。

良いお城というのは大阪城(大阪府)、名古屋城(愛知県)や姫路城(兵庫県)のように大きな天守や石垣があるお城でしょうか??

いいえ、大きなお城が良いお城とは言えません。

良いお城の条件とは「お城それぞれの目的にそった大きすぎず小さすぎず必要な機能をもっていること」

お城の目的とは、「大名の拠点として政治・経済の中心とすること」「敵国との国境を守るための前線基地とすること」「領地が広くなり本拠から遠い土地の支配を補佐するための支城」「本拠と各地の支城をつなげる中継基地とすること」など。

さらにお城の目的にくわえて「大名の経済状況」「領地周辺に敵対する大名がいるのか」「どれだけの兵・足軽を用意できるか」「鉄砲・火薬などは十分にあるか」「築城にかけられる時間がどれだけあるか」などを考慮しながら

山城にするか平城にするの?川の近くそれとも街道ぞい?どれだけの規模のお城にするの?などを決めてきます。

大阪城のようなお城を築いたとしても、守るための兵がいない・少ない、鉄砲が足りない、建てている最中に攻められたでは意味がないのです。

お城を築くためにはさまざまな要素を考えなくてはいけませんが、この記事では立地条件(山につくるのか、平地につくるのか)によってどんなメリット、デメリットがあるのかを解説していきます。

▼この記事で解説していきます▼
  • 山城のメリットとデメリット
  • 平山城のメリットとデメリット
  • 平城のメリットとデメリット
  • 水城・海城とは?
岐阜城・模擬天守山城の岐阜城(岐阜県)・模擬天守

山城のメリットとデメリット

山城とはそのまま山に築かれたお城のこと。

ふつう比高(ふもとの街からの高さ)100m〜以上に建てられ、山頂や尾根上に築かれました。

最大の特徴は山がもっている地形そのものの防御力。ふもとから100mとはいえ、甲冑を着たまま山道を登らせるだけで敵の体力を奪うことができるので有利になります。

小谷城小谷城(滋賀県)

山城初期

鎌倉時代〜室町時代初期になると山頂や尾根の部分をけずって平らにした曲輪(お城をくぎる区画のこと、本丸・二の丸など)をもうける山城が出てきました。

このころの山城は合戦が起きたときにだけ逃げ込むための非常時用のもので、普段は平地の館に住んでいました。

敵に攻め込まれそうになると、急いで準備をして山にこもるわけです。

なので山城といっても簡単な堀や土塁があるだけで、工事量は少なかった。そこで、防御力を確保するためにより高い山、より奥地にある山が選ばれました。

室町時代初期ではまだまだ物流も未発達で、食料など物資の運搬が問題でした。たとえ大軍に攻められたとしても1〜2ヶ月くらい山城にこもって耐えていたら、敵は大軍であることがかえって食糧不足を起こすなどして自滅していくことがありました。

なので、急ごしらえの山城でも十分に持ちこたえることができました。

戦国時代の山城

応仁・文明の乱(Wikipediaへ)が起きてから、全国的に戦乱が広がっていきました。

それまでは非常用として使っていた山城を恒常的に使うようになってきます。

石垣や竪堀、堀切などで防御された多数の曲輪をもった大規模な山城も登場してきます。(100を超える曲輪をもつ山城もありました)

武田信玄や福井県の朝倉氏のようにふもとの館と山上のお城を使い分ける戦国大名がいたり、

「普段から山で生活しててもいいんじゃない?」と言って山城を住居や政庁とする大名もいたりと、大名それぞれの事情でいろいろな使い方がされていました。

吉田郡山城の変遷毛利元就の吉田郡山城(広島県)

山城のメリット

山城のメリットは何と言ってもその天然の地形そのものです。

細い山道や尾根を通らなければいけないので、大軍を用意しても同時に攻撃できる兵は少なく、

山城を力攻めしても攻撃側の犠牲もそれなりに覚悟しなくては山城は落とせない。

そのほかのメリットは、少人数でも守りやすく、少ない工事量で防御力が得られること。

山城は弱小勢力が長期戦に持ち込んで、相手が自滅(食料が少なくなるなど)してくれるまで耐えるためのお城と言えそうだ。

山城のメリット
  • 天然の地形を活かした防御力
  • 少人数でも守りやすい、作りやすい
  • 見晴らしが良い
  • 大軍を用意できない弱小勢力向き
  • 専門の職人がいなくても築城できる

山城のデメリット

では山城のデメリットとはなんでしょうか??

まず考えられるデメリットは、水の確保が困難なこと。

もちろん川はふもとを流れているわけだし、山中で井戸を掘るのも大変だろう。

そして、領地の統治・政治には不向きなことがデメリットになる。

山城は斜面をけずって平らな場所を作るので、政治をするための御殿や家臣の屋敷を建設する場所が限られてしまう。

そのため、織田信長は岐阜城(岐阜県)を本拠地としていたときは、山頂を自分と家族のためのプライベート空間、ふもとの御殿を政庁として使い分けていました。

織田信長の岐阜城織田信長は岐阜城を山頂部分とふもとの御殿を使い分けていた
山城のデメリット
  • 水の確保が困難
  • 利用できる面積が限られるので、統治・政治には不向き

主な山城

日本三大山城
  • 岩村城(岐阜県)
  • 備中高松城(岡山県)
  • 高取城(奈良県)
  • 竹田城(兵庫県)
  • 箕輪城(群馬県)
  • 鳥取城(鳥取県)
  • 小谷城(滋賀県)
  • 七尾城(石川県)
  • 吉田郡山城(広島県)
  • 春日山城(新潟県)

平山城のメリットとデメリット

平山城(ひらやまじろ)とは山城よりは低い丘や山(だいたい100m以下)と周辺の平地を利用したお城。

山の地形をフルに利用した山城と比べると築城にかかる工事量は格段に増えることになる。

織田信長や豊臣秀吉によって天下統一されていく過程で、合戦向きで居住には不便な山城より、領地の統治・政治や経済と防御力のバランスのとれた平山城が選ばれていきます。

防御力を確保するため山城と違って、石垣を大規模に使いその上に櫓や天守を建て、幅の広い水堀を用いていました。

姫路城・天守姫山と鷺山という丘の上に建つ平山城の姫路城

平山城のメリット

平山城のメリットは防御力と統治のしやすさのバランスがとれていること。

統治のしやすさとは、お城近辺の町や村、街道や川などと連携が取りやすく経済発展がしやすいことが挙げられる。

そして、城内に広い場所を確保できるので多くの兵を収容可能になる。

さらに、町や村からもお城が近いため、天守や石垣などを領民が見ることができるので大名の権威の象徴としても使うことができる。

平山城のメリット
  • 防御力と統治のしやすさのバランスがとれている
  • 広い場所が確保でき多くの兵を収容することができる
  • 領民との距離が近いのでお城を権威の象徴として使うことができる

平山城のデメリット

では平山城のデメリットとはなんでしょうか??

まず考えられるデメリットは、防御力を確保するためには大規模な土木工事・建築工事が必要になること。

そのため、山城とくらべ、工事期間、工事に必要な人数・資金などが大幅に増えることになります。

さらには天守や石垣を築くためには専門の技術を職人を雇う必要があることなどもデメリットとなります。

平山城のデメリット
  • 大規模な土木・建築工事が必要
  • 工事期間・作業員・資金がかかる
  • 天守や石垣を築くために職人が必要
平山城の丸亀城平山城の丸亀城

主な平山城

  • 姫路城(兵庫県)
  • 熊本城(熊本県)
  • 津山城(岡山県)
  • 仙台城(宮城県)
  • 和歌山城(和歌山県)
  • 高知城(高知県)

平城のメリットとデメリット

平城は文字通り平地に築かれたお城。

山城や平山城と違って、高さによる防御上の利点がないため入念にお城を築く場所を決めなくてはいけません。さらに見通しがききにくいため櫓や天守を築いて遠くまで見渡せる工夫も必要になってきます。

平城は江戸時代初期から増えてきたお城のかたちですが、戦国時代にまったくなかったわけではありませんでした。

東海地方の濃尾平野など平野が広がるところでは山城を築くための山がないため、必然的にお城は平城になりました。

平城の防御力を補うために川や沼など湿地帯などを利用して、敵の行動を制限し攻められる方向を限定するなどの工夫をしていました。

江戸時代になると石垣を築く技術が普及してきたので、石垣を利用して山や丘に頼らなくても強固なお城を築くことを可能にしました。

勝幡城の推定復元模型勝幡城(愛知県) 推定復元模型

平城のメリット

平城のメリットとしてまず考えられるのは、領地の統治のしやすさが山城・平山城と比べて一番だということ。

山や丘など築く場所を制限するものがないので、自由にお城を築く場所を決めることができました。

そのため、街道が合流する場所、港や大きな街の近くなど経済的な利点を狙ってお城を築くことができました。
(城下町をお城と一緒にイチから築くこともありました)

街道に近いため、迅速に兵を動かすことも容易になりました。

平城のメリット
  • 統治がしやすい
  • お城の場所を自由に決められる(山や丘に制限されない)
  • 街道や港などの商業地のそばにお城を築くことができた
  • 街道が近いので兵を迅速に動かせる
  • 川や沼を利用することで防御力を得られる

平城のデメリット

では平城のデメリットとはなんでしょうか??

山城と平山城にくらべてお城が高いところにあるという利点がゼロのため、防御力が劣っていること。

そのため、平城では川や沼などを利用して防御していました。

備中高松城(岡山県)は沼など湿地帯を利用したお城で、このお城を攻めていた豊臣秀吉を苦しめていました。

しかし湿地帯というお城の利点を秀吉は逆手にとって、水攻めでお城を孤立させました。

平城のデメリット
  • 山城と平山城にくらべて、防御力が劣る
  • 川や沼はメリットでもあるが、水害・水攻めに弱い
  • 天守や石垣を築くために職人・資金などが必要

主な平城

  • 備中高松城(岡山県)
  • 名古屋城(愛知県)
  • 清洲城(愛知県)
  • 駿府城(静岡県)
  • 富山城(富山県)
  • 山形城(山形県)
  • 松本城(長野県)
  • 広島城(広島県)
  • 福岡城(福岡県)
  • 二条城(京都府)

水城・海城とは?

水城・海城とは湖や海岸、瀬戸内海の小さな島に築かれたお城のこと。

当然ながらお城が湖や海に面しているため、陸運だけでなく水運も利用できるため商工業が発達しやすいというメリットがあります。

そのほかにも湖や海を面しているため、防御を陸側にだけ集中させることができることもメリットとなります。

しかし、水城・海城を築くためには海岸や湖岸を埋め立てる必要があるので、山城や平山城などとくらべると土木工事量の増加・工事の難しさなどがあり、水城・海城を築くためには多大な資金・職人が必要になったことでしょう。

そして平城と同様に水害に弱いということもデメリットです。

高松城下図屏風高松城下図屏風
水城・海城のメリット
  • 陸運だけじゃなく水運も利用できるので商工業が発達しやすい
  • 防御を陸側に集中することができる
水城・海城のデメリット
  • 土木工事量の増大、埋め立て工事の難しさ、職人・資金の確保が必要なこと
  • 水害に弱い
高島城・模擬天守現在は埋め立てで諏訪湖に面していない 高島城・模擬天守

主な水城・海城

  • 高松城(香川県)・瀬戸内海
  • 高島城(長野県)・諏訪湖
  • 今治城(愛媛県)・瀬戸内海
  • 坂本城(滋賀県)・琵琶湖
  • 安土城(滋賀県)・琵琶湖
  • 彦根城(滋賀県)・琵琶湖
  • 中津城(大分県)・瀬戸内海
彦根城・天守昔、彦根城は琵琶湖に面した水城だった

参考資料