お城用語をわかりやすく解説

お城用語をわかりやすく解説 縄張(なわばり)編

お城用語をわかりやすく解説 縄張編

戦国時代から江戸時代初期にかけて日本には3万〜4万もの大小さまざまなお城があったといわれています。

しかもそれらのお城すべてにそれぞれの目的や役割があり、そのために場所選びから、お城の区画割り、天守の形や大きさなどを個別に決めていました。なので、似ているお城はあっても同じお城は一つもありません。

前回の記事では、お城つくりでもっとも重要になる場所選びを「山城・平山城・平城」という見方で解説しました。

今回はお城をきずく場所を決めた後、お城をどんな形にしていくのか?本丸をどこにおき、二の丸・三の丸はどうするのか?などなどお城の基本設計・防御プランとなる「縄張(なわばり)」について解説していきます。

この記事では縄張について解説していきます
  • 縄張(なわばり)ってなに??
  • 縄張にはどんな種類があるの??
  • 実際のお城の縄張はどうなってるの??

では、「縄張」についてみていきましょう!

縄張(なわばり)ってなに??

縄張とは、お城つくりにおいて本丸をどこに配置するのか、二の丸・三の丸はどう配置するのか、それらの間にある堀や土塁をそうめぐらすのか、本丸や二の丸の出入口をどこにするのかなど、お城がしっかり能力を発揮できるかを左右する基本設計のことです。

縄張はいくつかの種類に分けられるのですが(次の項で紹介します)、お城それぞれで築城する目的・大名のお金事情・どれだけの兵を集められるかなどで、築く場所や大きさ・形も変わってきます。
なのでお城一つ一つに合わせたオーダーメイドで縄張を設計していくので、同じ縄張をもつお城は一つもありません。

縄張はお城の重要な部分なので、築城を大名から任された家臣・武将にとって良い縄張を考えることが一番の腕の見せどころになります。ここで、良い縄張ができればあとあと築城名人と呼ばれることになります。

なぜ、縄張というのかというと、
実際にお城の予定地に縄を張っていって、「ここが本丸、ここからここまでが二の丸」というように縄で区画を区切っていったことから「縄張」と呼ばれるようになったそうです。

縄張にはどんな種類があるの??

では、縄張にはどんな種類があるのか見ていきましょう!

基本的な縄張のかたちは3つあります。

  • 梯郭式
  • 連郭式
  • 輪郭式・円郭式

これから紹介するこの3つの形に、すべてのお城がキレイに当てはまるわけではないですが、3つの形の1つ、もしくは2つ以上の特徴を持っています。

では、基本となる3つの縄張の形を見ていきましょう。

梯郭(ていかく)式の縄張

梯郭式の縄張梯郭式の縄張

梯郭式は本丸を二の丸、三の丸が2方向または3方向を取り囲む縄張です。

この梯郭式の縄張をもつのが高遠城(長野県)です。

高遠城の縄張高遠城の縄張・梯郭式

高遠城は梯郭式の縄張で、本丸のほぼ全周を二の丸が囲い、二の丸の2方向を三の丸が囲っていることがわかります。

連郭(れんかく)式の縄張

連郭式の縄張連郭式の縄張

連郭式の縄張の特徴は、本丸、二の丸、三の丸が一直線に並ぶことです。

連郭式では本丸の3方向が空いてしまい、この3方向から直接本丸を攻められないよう工夫する必要があります。

そしてこの連郭式の縄張りをもっているのが水戸城(茨城県)です。

水戸城の縄張水戸城の縄張・連郭式

水戸城は本丸を真ん中にもってきた形の連郭式です。

本丸を真ん中に持ってくることで本丸の両サイドを二の丸、東二の丸が守ることになるので本丸を直接攻めることができる方向を減らしていることがわかります。

輪郭(りんかく)式・円郭(えんかく)式

輪郭式の縄張輪郭式の縄張
円郭式の縄張円郭式の縄張

輪郭式・円郭式の縄張は本丸のまわりをグルッと二の丸が囲い、さらにその周りを三の丸が囲っている縄張になります。

輪郭式・円郭式の違いは、ただ四角か丸かの違いだけ。

輪郭式・円郭式の縄張だと本丸が外部と接することがないので守りやすそうです。しかし、二の丸・三の丸が細長くなってしまうことが欠点になります。まとまった広い面積を二の丸・三の丸にとれないので大きな部隊を動かす場合には不利になるかもしれません。

そして、輪郭式の縄張をもっているのが篠山(ささやま)城(兵庫県)です。

篠山城の縄張篠山城の縄張・輪郭式

篠山城には三の丸はありませんが、本丸を二の丸がグルッと1周囲っているのがわかります。

田中城の縄張田中城(静岡県)の縄張・円郭式

円郭式の唯一の例が、田中城(静岡県)。

田中城は住宅や学校などでお城のあとはほとんど残っていません。

それでも道路や住宅の並びかたが円形になっていて、田中城が円郭式の縄張をもっていたことをがわかります。

実際のお城の縄張はどうなってるの?

前の項で3つの基本的な縄張(梯郭式・連郭式・輪郭式)を紹介しました。

実際のお城でこの基本の縄張がそのままキレイに使われることは珍しいです。

地形や川などの制約がある中で、味方の資金や兵の数などを考慮しながら縄張を設計していきます。

では、実際のお城の縄張を見ていきましょう!

大垣城(岐阜県)の縄張

大垣城の縄張大垣城の縄張・連郭式+輪郭式

大垣城の縄張は本丸と二の丸は並んでいて連郭式、そして本丸・二の丸を三の丸がグルッと一周囲っているので輪郭式になっています。

広島城(広島県)の縄張

広島城の縄張広島城の縄張・連郭式+輪郭式

広島城の縄張は本丸と二の丸が一列に並んでいて、本丸・二の丸を三の丸が囲っている縄張になっています。

本丸と二の丸は連郭式で、本丸・二の丸を三の丸が囲っているので輪郭式だとわかります。

新発田城(新潟県)の縄張

新発田城の縄張新発田城の縄張・輪郭式+連郭式

新発田城は前項の広島城と逆で、本丸を二の丸が囲っていて、そして二の丸と三の丸が並んでいます。

本丸と二の丸が輪郭式で、二の丸と三の丸が連郭式です。

名古屋城の縄張

名古屋城の縄張名古屋城の縄張

名古屋城の縄張は本丸の周りを御深井丸(おふけまる)・西の丸・二の丸が守っていて、西の丸・二の丸の2方向を三の丸が囲っていることがわかります。

三の丸は西の丸と二の丸とで梯郭式だとわかりますが、御深井丸・西の丸・二の丸の3つで本丸を囲っている輪郭式だと見ることもできます。

大阪城の縄張

大阪城の縄張大阪城の縄張

大阪城の縄張は、本丸・山里曲輪を二の丸・西の丸・市正曲輪が囲っていることがわかります。

名古屋城と一緒で、1つの曲輪で本丸を囲うという輪郭式ではなくて、二の丸・西の丸・市正曲輪の3つで本丸を守っている輪郭式だと言えるでしょう。

二の丸・西の丸・市正曲輪を1つの曲輪にしていると、この曲輪を占領されてしまった時点で本丸が周囲すべてから攻撃を受けることになってしまいます。本丸の周囲を3つの曲輪に分けておくことで、たとえ二の丸が占領されても西の丸・市正曲輪が本丸を守っていますし、残った2つの曲輪から占領された曲輪へ反撃することもできることから3つに分けているのかもしれません。

姫路城の縄張

姫路城の縄張姫路城の縄張

姫路城の縄張は複雑で、3つの基本の縄張の形にあてはまりません。

大天守と3つの小天守からなる天守曲輪を中心にして、その周りに乾曲輪・備前曲輪・二の丸…と並んでいます。

姫路城は姫山と鷺山の2つの丘からなる平山城で、地形の制約などからこのような縄張になりました。

参考資料