お城の堀にかかる橋にはどんな種類があるの?
お城の橋の種類や特徴を知りたいな。
今回は「お城の橋」の疑問に答えていきます。
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- お城の橋は大きく2種類「土橋」と「木橋」
- 重要な出入口には土橋を、裏口には木橋が多く使われていた
それでは「お城の橋」を紹介していきます。
Contents
お城の橋は大きく2種類「土橋」と「木橋」
お城の橋は大きく2種類に分けられ、土や石垣で作られた「土橋」と木材で作られた「木橋」があります。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
重要な出入口に使われた「土橋」
「土橋(どばし)」は土塁や石垣で造られた橋。
日本のお城ではメインは土橋でした。
大手門など重要な出入口では土橋が多く使われています。
土橋は頑丈なため重量物の運搬などにも使われていました。
また土橋は簡単に壊すことができないことから、一度に大勢の敵が渡ってこないように櫓を建てたり、橋の幅を細くするなど防御の工夫をする必要があります。
- お城の重要な出入り口は土橋が使われていた
- 重さがあるものは土橋で運ぶ
- 土橋は壊すことができないので、敵の攻める標的になりやすい
- 土橋は幅がせまく、一度に大人数で渡れない
- 土橋の上では身を守ることができないよう、周囲から丸見えの状態
裏口に多く使われた「木橋」
「木橋(きばし)」は木材で造られた橋。
残念ながら現存している木橋は一つもありませんが発掘調査では木橋のこん跡が発見されています。
木橋は主にお城の裏口(搦手口(からめてくち))で多く使われていました。
木橋には形や仕掛けなどから「引き橋」「跳ね橋」「廊下橋」などの種類に分かれます。
木橋は木材で造られているので、緊急時には自ら破壊して敵の侵入を防ぐことができました。
- 定期的に掛け替え工事が必要
- 現存している例はない
- 敵に攻められたときは、板をはずしたり、橋そのものを壊して渡れなくしていた
土橋と木橋の使い分け方
お城ではすべての橋を土橋に、もしくは木橋に統一することはありませんでした。
例えば橋をすべて木橋にすると、橋を壊すことで敵の侵入を防ぐことができるかもしれません。しかし同時にお城の中から外へ出る手段がなくなってしまいます。
お城に閉じ込められてしまっては、外に出れないので反撃できません。
反対にすべてを土橋にすると、お城の出入口全部に守りの兵士を置いておかないといけなくなります。
なぜなら全ての出入口から侵入される可能性があるので、すべての出入口に兵士を置いて守らなくてはいけないから。
このように土橋、木橋にはそれぞれメリット・デメリットがあるので、すべての橋をどちらか一方にすることはなく、場所によって使い分けていました。
土橋は大手門など重要な門に、木橋は裏口の搦手口に使われることが多かったです。
スポンサーリンク橋は重要な防御地点
橋は堀を渡るための設備で、おのずと敵が集中するのでお城を守るための重要なポイントでした。
敵はお城へ侵入するために橋へ殺到し、狭い橋の上で並ばされることになります。
ここを城内からいかに攻撃するかで、敵を撃退することが可能に。
そのために橋の近くに櫓を建てたり、城壁を作ることで、橋の上に側面攻撃(横矢)をかける工夫をしていました。
スポンサーリンクいろいろな形の木橋
ここでは3つの形の木橋、「廊下橋」「引き橋」「跳ね橋」を紹介します。
可動式で引き込むことができた「引き橋(ひきばし)」
引き橋は可動式になっていて、城内に引き込むことができた橋。
橋に車輪をつけた「車橋」もあったと言われていますが、現存している例はありません。
引き橋は橋を城内に引き込むことで、敵の侵入を防ぐことができました。
滑車で跳ね上げた「跳ね橋(桔橋・はねばし)」
跳ね橋は滑車を使って、跳ね上げることができた橋。
江戸城本丸の北桔橋門(きたはねばしもん)が跳ね橋でした。(再建された橋は跳ね橋にはなっていません)
橋を壊すことなく撤去でき、敵の侵入を防ぐことができました。
屋根や壁でおおった「廊下橋(ろうかばし)」
廊下橋は木橋に屋根と壁を設け、廊下のようにした橋。
福井城や和歌山城で廊下橋が復元されています。
廊下橋は藩主専用の橋で許された人しか渡ることができず、廊下橋にすることで周囲から見えないようにしていたと言う。
高知城に現存している廊下橋(詰門)は、1階部分が城門で2階部分が廊下橋になっている特殊な橋・城門です。
オススメなお城の橋 4選
ここではぜひ見学してほしいお城の橋を4つに厳選して紹介します。
大阪城 大手門(土橋)
大阪城二の丸の大手門前にある土橋は石垣で造られていて、全国でも1、2の大きさを誇ります。
外から大手門まで土橋が一直線に伸びているので、防御が手薄のように感じるかもしれません。
しかし土橋の左側には現存する千貫櫓があり、土橋を渡って大手門へ迫る敵の側面を攻撃することができました。
そのために土橋の上は隠れれる場所を作らないために、スッキリ整理されています。
大阪城の土橋の大きさと、防御の工夫はぜひ現地で体感してみてください。
彦根城 鐘の丸・天秤櫓(木橋)
彦根城の鐘の丸と天秤櫓の間には大きな堀切が設けられていて、そこに木橋がかけられています。
大手門や表門から侵入してきた敵は木橋の下で合流。
しかしこの間に鐘の丸と天秤櫓からはさみ撃ちにされ、橋を渡るにも正面にある天秤櫓からの攻撃をしのがなくてはいけませんでした。
最終手段として橋を自ら落とすことで、鐘の丸と天秤櫓を分断することができます。
お城に閉じこもってしまうと反撃できなくなるけど、なんとしても敵を彦根城へ引き付けておく強い意思が感じられます。
高知城 詰門(橋廊下)
高知城の詰門は本丸と二の丸の間にあり、江戸時代は「橋廊下」と呼ばれていました。
橋廊下の1階部分は城門になっていて、本丸と二の丸の間の堀を塞いでいました。また城門といっても倉庫になっていて、塩を保管する塩蔵として使われていました。
2階部分は通路になっていて、本丸と二の丸をつないでいます。
和歌山城 廊下橋
和歌山城の廊下橋は二の丸と西の丸をつないでいて、現在の橋は2006年に復元されたものです。
西の丸は初代藩主・徳川頼宣が隠居所として御殿や庭園を造りました。
藩主は御殿がある二の丸から廊下橋を渡って、リラックスするために庭園のある西の丸へ行っていました。
また廊下橋は藩主と付き人しか渡ることが許されませんでした。
廊下橋を渡って藩主気分を味わってみるのはいかかでしょうか?
お城を見学するときに「橋」に注目してみよう!
今回は「お城の橋」を紹介しました。
もう一度ポイントをおさらいしておきます。
- お城の橋の種類は大きく2つ「土橋」と「木橋」
- 土橋は土塁や石垣で造られた橋
- 木橋は木材で造られた橋
- 橋は重要な防御地点になった
- 土橋は重要な出入口に、木橋は裏口に多く使われていた
- 木橋には「引き橋」「跳ね橋」「廊下橋」がある
普段お城を見学していても橋は見落としがちなポイントかもしれません。
次にお城を見学する際には、橋の上で立ち止まって周囲にどんな防御の工夫があるのか確認してみてください。