お城用語をわかりやすく解説

お城用語をわかりやすく解説 土塁(どるい)編

今回は「土塁(どるい)」について解説していきます。

土塁とはカンタンに言うと土手や堤防をイメージしてもらうとわかりやすいです。

土塁は曲輪(くるわ)の周囲に防御のための土手のことをいいます。

土塁はほかにも「土居(どい)」などとも呼ばれていました。
とくに豊臣秀吉が京都の町をかこむ土塁のことを「御土居(おどい)」と呼んでいます。

「城」という字は「土」より「成る」と書くように、土を盛ったものが土塁です。

漢字にもなるように、土塁はお城の基本と言えるかもしれません。

では土塁について解説していきます。

土塁について解説しています
  • 土塁のつくり方
  • さまざまな土塁の用途
  • 鉢巻石垣と腰巻石垣・土塁と石垣のコラボレーション

土塁のつくり方

土塁のつくり方土塁のつくり方

土塁は堀を掘ったときに出た土を使って築きました。そのため土塁と堀は切っても切れない関係です。

土塁の斜面はおおむね45度で、これ以上角度をキツくすると雨で崩れやすくなってしまい、逆に角度をゆるくすると登りやすくなってしまいます。45度がちょうどよい角度になっています。

「たたき土居」という土塁は、小石や粘土を土塁のなかに混ぜて作ったもの。

「芝土居」という土塁は、斜面に芝生を植えた土塁です。ですが現在はどこのお城の土塁も雑草が生えているので芝土居だったかどうかはわかりづらい状態です。

土塁と堀・塀の組み合わせ土塁と堀・塀の組み合わせ

さまざまな土塁の使い方

土塁は古くない、江戸時代でも使われ続けた!

土塁は戦国時代以前から使われてきたものですが、江戸時代以降も使われ続けました。

土塁は土を盛って作るというカンタンな作り方のため特殊な技術がいらないので石垣などと作りやすい点がありました。

江戸時代のお城になると規模が大きくなってきます。

そのため、本丸や二の丸は総石垣づくりでも三の丸などは土塁となることもあります。

三の丸は本丸・二の丸の周囲を囲うように作られるので大きくなってしまいます。三の丸の外周を石垣にすることは資金・労力の点でも難しいものでした。なので三の丸など大きな曲輪では土塁にすることがありました。

名古屋城の土塁と石垣名古屋城の土塁と石垣

また関東地方や東北地方など石垣のための石材が用意しにくい地方では石垣が発達した後でも土塁中心のお城が使われつづけました。

土塁の使い方 城内の仕切りとして

土塁の使い方 仕切りとして土塁の使い方 仕切りとして

土塁はお城の外側に作って敵を侵入させないだけではなく、城内の仕切りとしても使われていました。

例えば、大名や城主など屋敷のまわりを土塁で囲むことで、身分の違いを強調する目的などがありました。もちろん忍者など不審者を侵入させない役割もありました。

土塁の使い方 足場として

土塁の使い方 足場として土塁の使い方 足場として

土塁のうえは広く歩くことができるため通路として使われていました。

また戦いのときには土塁のうえから攻撃することで敵にたいして高さがあるので、有利に戦いをすすめることができました。(高さがあることで弓矢や鉄砲もより遠くへ届く)

土塁の使い方 弾よけとして

土塁の使い方 弾除けとして土塁の使い方 弾除けとして

低い土塁を作ることで土塁に隠れながら鉄砲を撃つことができました。

高さこそありませんが、鉄砲の弾ごめのときなどの弾よけとして使うことができました。

土塁は幅があり、石も含んでいるので鉄砲(火縄銃)では貫通することはありませんでした。なので弾よけとして最適なものでした。

鉢巻石垣と腰巻石垣 土塁と石垣のコラボレーション

土塁には石垣にはないメリットがありました。

土塁のメリット
  • 作ることがカンタン・特殊な技術がいらない
  • 石材を調達する必要がない
  • 規模を大きくすることで石垣に負けない防御力を発揮

関東地方など石垣を築きづらい場所では、この土塁のメリットを活かしつつ石垣を築くことができないかが考えられてきました。

そしてその答えが、「鉢巻(はちまき)石垣」「腰巻(こしまき)石垣」です。

彦根城の鉢巻石垣と腰巻石垣彦根城の鉢巻石垣と腰巻石垣

鉢巻石垣

鉢巻石垣とは土塁の上部につくった石垣です。

土塁は土を盛って固めただけなので、重量に耐えられず崩れてしまいため土塁のうえには大阪城名古屋城にあるような大きなやぐらを建てることができませんでした。

名古屋城の西南隅やぐら名古屋城の西南隅やぐら

そして、土塁のうえにもやぐらを建てたい!という要望を実現させたのが「鉢巻石垣」です。

宇都宮城 富士見やぐら宇都宮城 富士見やぐら

腰巻石垣

腰巻石垣は鉢巻石垣とは逆に、土塁の下部にだけを石垣にしたものです。

水堀や川に面している土塁では水によって土塁が削られていってしまうので、水面の少し上の高さまでを石垣にすることで土塁が削られ、崩れることを防いでいます。

鉢巻腰巻石垣

鉢巻腰巻石垣は鉢巻石垣と腰巻石垣を合体させたもので、土塁の上部と下部のみが石垣になっています。

彦根城の鉢巻石垣と腰巻石垣彦根城の鉢巻腰巻石垣

なぜ鉢巻・腰巻石垣なのか?

ではなぜすべてを石垣にしないで、鉢巻や腰巻石垣にするのでしょうか?
総石垣にしたほうが見た目も良くなりそうな感じがします。

ズバリ言うと、「お金もかからず、短時間で、総石垣と変わらない防御力を得られたから」です。

たとえば、熊本城のような高さのある石垣を築くには石垣職人が必要でした。そして、石垣のための石材の運搬・加工にも多数の人手が必要になりました。

そのため経済的にキビシイ大名や、近くで良い石材がとれない地方では鉢巻・腰巻石垣にすることで資金・石材の節約をしていました。

また、彦根城は関ヶ原の戦いの直後から築城が始められました。関ヶ原の戦いのあとは政治的に緊張していて、次の合戦がいつ始まってもおかしくない状況でした。そこで彦根城は江戸にいる徳川家康の近畿地方での前線基地としての役割があたえられていました。いつ合戦がおきるかわからな状況で一刻もはやくお城を完成させなくてはいけないということで、彦根城では鉢巻・腰巻石垣が利用されたと考えられます。

このように鉢巻・腰巻石垣にはメリットがあるのでいろいろなところで利用されていました。
(大名の権威・豊かさなどをしめすためには、総石垣にするほうが有効だったと思います)

鉢巻・腰巻石垣のメリットおさらい
  • お金がかからない
  • 短時間で工事が終わる
  • 高さのある石垣を築かなくてもよい
  • 総石垣と変わらない防御力を発揮できる

参考資料