お城の門にはどんな種類があるの?
お城の門の種類によってどんな特徴があるのか知りたいな!
今回は「お城の門」の疑問に答えていきます。
- 本ブログで100記事以上を執筆
- お城の面白さをみんなともっと共有したい思いからブログ・YouTube・Twitterでお城の情報・知識を発信しています。
お城の門は敵の侵入を防ぐ重要な施設の一つでした。
そのため門にはいろいろ工夫されて、いくつかの種類があります。
今回はお城の門を写真などを使って解説していきます。
- お城の門とは
- 門の構造
- 門の種類8つ
- 扉に金属を貼った門3つ
- 現存している+オススメな門4つ
では解説していきます。
Contents
門は古代から使われてきたお城の基本パーツの一つ
門は単純に閉め切れば敵の侵入を防ぐことができたお城の重要な施設の一つ。
古代からお城に限らず門は使われてきました。
門は敵から一番狙われやすい部分なので強固に作る必要があったけど、味方が素早く出撃するために使いやすさも求められていました。
門は出入口の通路のと同じく古くから工夫が重ねられていて、いくつかの種類に分けられています。(これから門の種類を紹介していきます)
また江戸時代のお城では門には防御力だけでなく、お城の顔としての格式も求められていました。
スポンサーリンクお城の門の基本構造と門に付いている金具
門の構造で重要なのは鏡柱と冠木と控え柱
カンタンな門の構造は、2本の鏡柱(主柱)に冠木(かぶき)と呼ばれる木材を渡して、鏡柱の間に扉を吊るだけです。
これだと鏡柱だけで門を支えていることになるので不安定でした。
そこで門の構造をより頑丈にするために、控え柱を鏡柱のうしろに立てることで支えています。
門の種類によって構造が大きく変わることはなく、控え柱が「ある」か「ない」かの違いしかありません。
門に付いている金具
お城の門は基本的に内開き。
敵の侵入阻止を第一としているので、扉を支える金具「肘金(ひじがね)」と「壺金(つぼがね)」を内側に取り付けて敵の攻撃が当たらないようにしているからです。
扉についている「八双(はっそう)」という金具は、扉に差し込まれた壺金の補強と飾りのために付けられました。
「乳金物(ちちかなもの)」は鏡柱や扉から飛び出ている金具(肘金など)の先端を隠す飾りとして付けられています。
スポンサーリンクお城の門の構造7つ
「櫓門」:最も格式が高く厳重な守りの門
櫓門(やぐらもん)は門の上に櫓を載せた門。
城門の中では一番強固な門で、大手門や本丸表門など重要な門は櫓門にしていました。
お城の出入口の一つで「枡形出入口」というものがあります。
(枡形出入口についてはこちら)
枡形出入口では2つの門を使って守っていて、城内側の門に櫓門を使用。(城外側の門にはあとで紹介する高麗門を使用)
枡形出入口の2つの門やその周囲の櫓などをまとめて「枡形門(ますがたもん)」と呼ぶこともあります。
「薬医門」:武家屋敷の正門にも使われる格式の高い門
薬医門(やくいもん)は鏡柱と控え柱をまとめて大きな屋根1つで覆った門。
薬医門は武士の屋敷の正門にも使われていた格式の高い門で、お城の中でも格式が求められる場所の門として利用されていました。
格式が求められる一方で防御面ではデメリットがありました。
門周辺に集まってきた敵を薬医門の大きな屋根が隠してしまう点です。
このデメリットを改良したのが次に紹介する「高麗門」です。
「高麗門」:薬医門の弱点を改良した新式の門
高麗門(こうらいもん)は豊臣秀吉の朝鮮出兵(文禄・慶長の役)のころから使われ始めた門。
薬医門では大きな屋根が敵を隠してしまう弱点があったので、高麗門では屋根を小さくしました。
屋根を小さくしたため、はみ出た控え柱には別の小さな屋根をそれぞれ設けることで雨に濡れるのを防いでいます。
また高麗門は櫓門と一緒に枡形門の一部として利用されています。
「埋門」:石垣などをくり抜くように作られた門
埋門(うずみもん)は石垣の間などの狭いすき間に門を作って、門の上に塀を通した門のこと。
埋門は簡単なわりに防御力が高い門です。
埋門は小さく日常的に使うのは不便だったので、お城の裏門や非常口に使われていました。
「棟門」:控え柱を省略した門
棟門(むなもん)は控え柱がなく、鏡柱だけに屋根を載せた門。
控え柱がないので不安定になりやすい門でした。
棟門は石垣の間に建てるなどして、その不安定さを補っていました。
「冠木門」:最もカンタンな造りの門
冠木門(かぶきもん)は控え柱や屋根がない最も単純な造りの門。
江戸時代のお城には使用例が少なく、明治時代の役所などの門などに多く利用されていました。
「長屋門」:家臣の屋敷にも使われた門
長屋門(ながやもん)は長屋の一部に設置された門。
家臣の屋敷の正門や曲輪の中の仕切りとして利用されていました。
門の両脇に小部屋があって、この部屋が門番が待機する番所になっています。
「唐門」:二条城にある豪華な飾りで格式を重視した門
唐門(からもん)は京都の二条城二の丸御殿の正門。
唐門は正面と背面に唐破風をそなえていたり、彫刻や飾り金具など豪華な造りになっています。(破風についてはこちら)
また瓦ではなく柿葺き(こけらぶき)の屋根にすることで、より格式を重視していました。
唐門の彫刻には長寿を意味する「松竹梅に鶴」や聖域を守る「唐獅子」などがあります。
見学するときは彫刻などの飾りを詳しく観察してみてね。
スポンサーリンク金属を貼った門の種類3つ
扉に鉄板を貼り付けた「鉄門」
鉄門(くろがねもん)は扉や鏡柱に鉄板を貼り付けた門。
厚さ3mm以下の短冊状にした鉄板を貼ることで、門の防御力をアップさせていました。
鉄板を貼った門は織田信長の安土城・本丸表門に始まります。
信長の後、豊臣秀吉が大坂城の本丸奥門を鉄門にしていたことで、各地のお城で一番重要な門が鉄門になっていきました。
鉄板のすき間をあけた「筋金門」
鉄門が鉄板をすき間なく貼っていたのに対して、筋金門(すじがねもん)はすき間をあけて鉄板を貼った門。
お城によっては筋金門のことを鉄門と呼ぶところもありました。
鉄板の代わりに銅板を貼った「銅門」
門に貼られていた金属は鉄板だけではなく、銅門(あかがねもん)では文字通り銅板が貼ってありました。
門につけられた名前
お城の正門「大手門」
お城の正門のことを大手門(おおてもん)といいます。
大手門はお城の顔にあたるので櫓門+鉄門にすることで防御力と格式の両方を兼ね備えた門にしていました。
お城によっては追手門(おうてもん)と呼ぶところもあります。
お城の裏口「搦手門」
正門の大手門とは反対側、お城の裏口は搦手門(からめてもん)といいます。
イロハや地名から名前がつけられた門
お城に門がたくさんあると名前をつけるのに困ってしまいます。
姫路城の場合はイロハで「いの門」「ろの門」「はの門」というように名前をつけていました。
また江戸城のように大きなお城では門が建てられた場所の地名から、「桜田門」や「赤坂門」「日比谷門」と名前をつけています。
時報の太鼓を置いていた「太鼓門」
太鼓門(たいこもん)は櫓門のなかに太鼓を置いていた門のこと。
江戸時代は日の出や日没などを太鼓や鐘で知らせることで、時報にしていました。
この時報のための太鼓が置かれていたのが太鼓門です。
現存している+オススメな門4つ
古代の門が復元された「鬼ノ城・西門」
鬼ノ城は誰が何のためにいつ築城したのかわかっていない謎の城。
663年に日本(倭)が朝鮮半島で戦った白村江(はくすきのえ)の戦いで惨敗。中国や朝鮮からの侵略の危機に対処するため天智天皇が鬼ノ城を築かせたとする説があります。
鬼ノ城は高原状の地形を全周約2.8kmにおよぶ城壁で囲ったお城で、東西南北の4ヶ所に門があり、西門が復元されました。
鬼ノ城の西門は古代山城(天智天皇が日本防衛のために築いたお城)で唯一復元された門で、飛鳥時代の門を体感することができます。
(古代山城についてはこちら)
徳川幕府の巨大な枡形門「大阪城・二の丸大手門」
1615年の大坂の陣で豊臣氏が滅亡した後、2代将軍・徳川秀忠が大坂城を改修し現在の大阪城の形になっています。
徳川秀忠の大阪城では防御に強い枡形出入口を使っていて、二の丸に4ヶ所、本丸に2ヶ所作って防御を固めていました。
現在の大阪城では枡形出入口(枡形門)のほとんどが失われていて、現存しているのは「二の丸大手門」のみ。
櫓門、高麗門、多門櫓、土塀など完全に残る徳川幕府の巨大な枡形出入口(枡形門)の迫力はバツグンです。
3つの門で連携した「伊予松山城・戸無門、筒井門、隠し門」
一番最初に出てくる戸無門(となしもん)は高麗門で、創建時から扉が無かったことから戸無門と呼ばれていました。
戸無門はすぐ後にある筒井門へ敵を誘い込む目的のために、扉を付けていなかったと言われています。
筒井門(つついもん)は櫓門で、門の右側の石垣と櫓が張り出しいることでL字状になっていて、門に迫ってきた敵の側面を攻撃することが可能。
そしてこの石垣に隠されるように筒井門のとなりに隠し門(かくしもん)があります。
石垣で隠されていた隠し門から出撃して、筒井門を攻撃している敵の背後を襲うことを考えていました。
このように「戸無門」「筒井門」「隠し門」の3つのが連携することで敵を巧みに誘導して攻撃していました。
櫓門が復元されたばかりの「鹿児島城、金沢城、水戸城」
天守を持たなかったお城のシンボル「鹿児島城・御楼門」
鹿児島城の御楼門(ごろうもん)は2020年4月11日から一般公開された櫓門。
もともとの御楼門は本丸の正面入口に建てられていて、約150年前の1873年(明治6年)に火災で焼失していました。
天守や二重櫓などを持っていなかった鹿児島城にとって御楼門はお城のシンボル・顔といえるものです。
寒さに強い海鼠壁が特徴の「金沢城・鼠多門」
鼠多門(ねずみたもん)は2015年から行われていた第3期復元工事の一つで2020年7月18日に鼠多門橋と一緒に復元完成した櫓門。
江戸時代に鼠多門は玉泉院丸(玉泉院庭園)と金谷出丸(尾山神社)を結ぶ出入口として使われていました。
明治時代の1884年の火災で鼠多門は焼失していたけど、古写真が残っていてかつての姿が判明していました。このことも復元に生かされています。
鼠多門の外観は寒冷地仕様で寒さに強い海鼠壁(なまこかべ)が特徴のひとつです。
(海鼠壁についてはこちら)
瓦や釘まで当時のものを再現して復元された「水戸城・大手門」
水戸城の大手門は藩校・弘道館のある三の丸とお城の中心だった二の丸を繋ぐ、お城の中心的な場所にありました。
2009年に坂東市のお寺から「水戸城大手門の扉」と伝わる一枚の扉が寄贈されました。
残されていた古写真などからこの扉は大手門の扉ではなかったけど、これをキッカケに大手門の復元への取り組みがスタートし2020年2月4日に完成。
復元された門は県の指定史跡上に建てられているので、水戸城の遺構を保護するために土を盛るなどの工夫がされています。
門に注目してお城めぐりをしてみよう!
今回は「お城の門」について解説しました。
門はお城の出入口で敵の侵入を防ぐために防御力が求められる一方で、お城の顔としての格式も求められるお城のパーツでした。
最後にもう一度ポイントをまとめておきます。
- 門は古代から使われてきたお城の基本パーツ
- 門の構造は鏡柱・冠木・控え柱からなる
門の種類7つ
- 櫓門
- 薬医門
- 高麗門
- 埋門
- 棟門
- 冠木門
- 長屋門
- 唐門
金属を貼った門の種類3つ
- 鉄門
- 筋金門
- 銅門
お城めぐりをするときにはぜひ「門」に注目してください。
この記事がわかりやすかったらシェアしてくれるとうれしいです。